無気力さんと同居するらしい



「…でも、行ってほしくない」

え?

真琴くんの小さな声が聞こえた

いって、欲しくない?


「…梓が帰ってこないかもしれないだろ」

…え?

「もし行かせたら…ルイってやつのところにいるって言い出すかもしれない。お前の本当の家だし、もし梓のお母さんに頼まれたりしたらお前だって断れないだろ」

…何を

「梓が…いない家なんて嫌だ」


その言葉に心臓が締め付けられた気がした

小さな声だった

目線を逸らして、その整った顔を歪めながら紡いだ言葉に

胸がぎゅうと音を立てる


「…真琴くん」

「…昨日、梓のいなかった夜ご飯がくそまずかった。梓がいないリビングがなんの意味も持たない、ただの場所にしか見えなかった…寂しかった
俺をこんなにしたのは梓だろ…責任取れよ」

…多分今の私は変な顔をしていると思う

だってそんなの…
私が真琴くんにそばにいて欲しいと願うのと何も変わらない

真琴くんも、私と同じように、私との時間を大事にしてくれてる

そう実感するだけで胸が苦しくなる


「梓がいないと窒息する」

いやまじか
そのレベルか

「いいの?」

伏せた目からチラリと私を見る

「梓がいないと死ぬよ。俺が」

真琴くんがっ?

それはあかんけど

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