無気力さんと同居するらしい


揺れる黒髪とすれ違いで蒼馬登場

「あれ、あいつどこ行くんだよ」

「あーお手洗いだって」

「あそう」

さっきまで結花の座っていた席に座る蒼馬


「…あのね、蒼馬」

「あーそうそう。俺お前に言わなきゃいけないことがあるんだ」

…え?

「お前が好きだって言ったの、あれ取り消すわ」

…え、ふぇ?


「嘘ついてたわけじゃないぞ?ただ取り消すだけ。だから…俺なんかに気を遣わないで真っ当に恋愛でもなんでもしろ」

…蒼馬

私が、思い詰めないようにしてくれてるのかな

「俺はお前如きにフラれた程度で傷つかないから」

ニシシっと笑ってみせる蒼馬

「お前に恋人ができた時、俺がちゃんと応援できるようにしたいから、あの告白は忘れてくれ」

「うぅ…蒼馬ァ」

「俺の告白なんて忘れて思い切りお前の恋愛を楽しめ」


蒼馬…

自分の告白が、私のこの先の恋愛の重みにならないようにこんなことを言ってくれてるんだろうけど

その優しさに逆に胸が苦しすぎて息の仕方忘れそう

自分のことよりも私のことを考えてくれるこの偉大な友達に幸せになってほしい

なんて…
どの立場から言えばいいのだろう


例えば結花なら

相応しい言葉をかけられるのかもしれない

「蒼馬…結花とかどう?」

「ありえねぇよ、はっ倒すぞ」

そう言って冗談めかして私に笑った蒼馬はサイコーにかっこよかった

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