無気力さんと同居するらしい


ガサゴソと布の音がして、チラリと振り向くと大きいサイズのTシャツを着た織原真琴と目があった

「着た」

「はい」

はぁ…なんか疲れた

「お前本当うるさいね」

んなっ

「ええまあ、おかげさまでっ」

語尾を強めて威嚇する

誰のせいだと思ってんだこの野郎!

身長差があるので仕方なく下から織原真琴を睨みつける


…髪の毛濡れてる

そりゃそうか、私に傘を渡してこの大雨の中を帰ってきたんだから



「あ、あの」

「?」

「…傘、ありがとうございました」

「あー別に。お前より足速いし」

それでも雨に降られたことに変わりはない

「風邪ひかないように早めにお風呂入ってください。お風呂沸かしますね。ご飯はその後でいいですか」

とりあえず私も着替えようかな


「…お前さ」



珍しく向こうからかけられた声にリビングを出ようとした足を止めた

「なんか召使いみたいだな」

召使い…?

ああ
まあ確かに、居候の身ですから

むしろそう捉えられた方が都合が良かったりする

「そうですね」

「……」



さっきまでは結構柔らかく喋っていた織原真琴の表情が再び冷酷なものに戻る

「風呂…沸いたら呼んで」

「あ、はい」


ガチャン

私の返事を待つこともなく、リビングの扉が閉められた


…?


なんだ?



…まぁ、いっか

お風呂沸かそう

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