無気力さんと同居するらしい


の、だが…


「お母さん?」

普段より若干影のかかった母の表情に違和感を覚えた

「梓」

軽く手招きされて、鞄を背負ったまま近寄る

「あのね、さっきおばあちゃんから連絡が来たの」

おばあちゃん?
フランスの?

「体調を…崩したらしいの」

いつもより低い声でお母さんが呟いた


おばあちゃんは現在フランスでオリジナルのブランド会社を経営している
なんとなんと社長だ

若くしてお母さんを産んだため、まだまだ現役で活躍している自慢のおばあちゃん

…が体調を崩したらしい

そりゃ不安になるに決まってる

お母さんの顔色は悪い

「会社、好景気なのに…こんな時期にって連絡が来て」


とても大きな会社というわけではないけれど、長年引き継がれてきた歴史ある会社

お母さんも私を産む直前までその会社で立派に働いていた

そんな大切な会社

せっかくの好景気なのにそんな状態ではきっとおばあちゃんも不安で仕方ないだろう


大丈夫なのかな…

なんて私も一丁前に心配していたが

次の言葉によって再び大打撃を受けることとなる



「だからお母さんしばらくフランスに行くわ」


…はぃ?


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