無気力さんと同居するらしい


あ、そうだ

「そういえば学校でも織原くんがお休みだってみんな騒いでましたよ」

「うわ、だるいね」

何を言う貴様

「心配してくれてるんじゃないですか」

「まあ世間的には病人を心配するのって普通だよね」

はぁぁん?

なんてひん曲がってやがるこやつ!

「素直に受け止められないんですか」

「難しいこと言うなよ」

いや、逆にそこまでひねくれる方が難しいでしょ


「私だって心配したんですよ。掃除当番だって代わってもらったのに」

なーにが"世間的には普通だよね"…だよ!

普通で悪かったな!

頬を膨らませる

「…心配したの?」

「ええ!私普通ですからー」

「…」

…ん?

再び黙りこくった同居人の方を見る


「なんですかその顔、どういう感情ですか」

口元を片手で押さえ、困ったように眉でハの字を作っている

「…ほっとけ」

えーなんそれなんそれー

その少し乱れた綺麗な横顔を見る


『世間的には普通だよね』

…なるほど、照れてるのか


世間的には普通だなんて嫌味みたいなこと言うくらいだもの

きっと彼は心配され慣れてないんだろう

いきなり私に真っ直ぐな心配を向けられて、受け取り方も知らなくて
戸惑っているようにさえ見えた


「こういう時ってどうするのが正解なんだ」

ボソリと呟いた

…簡単なことだよ

「ありがとうって言えばいいんです」

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