誘拐屋の寵愛
「ハア……」

オリビアがため息をつくと、ギロリとお局たちに一瞬で睨まれる。そして「ため息ついてる暇があるなら、さっさと手を動かしなさいよ!」と言われ、オリビアは慌てて作業を再開した。

この世界に、オリビアの居場所などどこにもない。職場では入社した当初からこうして女性社員たちに嫌がらせをされ、家ではいないものとして扱われている。オリビアは泣きそうになりながら手を動かし続けた。

オリビアは両親と妹と一緒に暮らしている。しかし、両親に愛されるのは妹ただ一人だった。妹のわがままがいつも優先され、オリビアは大学に行かせてもらえず、働いて家にお金を入れることになったのだ。

服も、車も、何もかも妹に奪われ、両親からはこき使われ、会社でもいじめられ、オリビアは何度死にたいと思ったかわからない。しかし、死ぬのが怖くて生きているのだ。

そんなオリビアはまだ知らない。これから自分の運命が大きく変わってしまうことにーーー。
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