誘拐屋の寵愛



オリビアはお昼休憩も取らず、頑張って仕事を続けた。そして頼まれた仕事は夕方に仕上げることができたのだ。

「ふ〜ん。じゃあ、これとこれとこれもよろしく!」

お局たちに出来上がった資料などをオリビアが見せると、お局たちにさらに仕事を押し付けられる。これはもうオリビアにとって当たり前で、「はい……」と消えそうな声で返事をするしかない。

お局たちは定時になると笑いながら帰っていく。働いているのはオリビアだけ。入社してから何度目になるかわからない残業の時間が始まるのだ。

「……やっと終わった……」

全ての仕事が終わった時、外はもうすっかり暗くなっていた。夜の八時を過ぎている。オリビアはかばんを手に重い足で会社を出た。

「お父さんたちはまた外食かな……」

オリビアが夕方までに帰って来られない日は、家族はみんな高級フレンチなどで夕食を食べて帰ってくる。それに対してオリビアは家にある残り物だ。
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