誘拐屋の寵愛
このまま自分はここで殺されるのか、とオリビアが震えているとドアの鍵をいじる音が聞こえてきた。そしてドアが開いて栗色の髪をした可愛らしい顔立ちの男性が姿を見せる。

「あっ、起きたんだね」

男性は嬉しそうに笑い、「アルロさ〜ん!起きたみたい!」と大声で叫ぶ。そして震えるオリビアにゆっくりと近づいた。

「ここはどこですか?あなたは誰?」

「僕の名前はテディー。ここは……どこかは教えられない。でも、今日からここが君のお家になる場所だよ」

オリビアの頭の上にテディーの手が置かれる。優しく頭を撫でられ、オリビアの体の震えも収まっていった。その時、「気分はどう?」と声をかけられる。顔をオリビアが上げると、眠る前まで話をしていた男性が微笑んでいた。

「あなたは!」

「俺はアルロ。気分は悪くない?オレンジピールティーに睡眠薬を入れてたんだ。副作用があったら安静にしていてもらわないといけないから」

「アルロさんは医師免許持ってるんだ。だから安心してね」
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