10年分の「好き」をキミに。
校舎の中へ入るとまず最初に目に入るのはたくさんのレッスン室。



私の通っていた中学校は普通の中学校だったから見慣れなくて良い意味で違いすぎるよ。



「あの、一ノ瀬咲希[いちのせさき]ちゃんですよね。私ずっと咲希ちゃんに憧れていて。握手して貰って良いですか?」



廊下をぶらぶらと歩いていると、メガネを掛けた、小柄な女の子に声をかけられた。



「もちろんです。憧れなんて言って貰えて嬉しいです!」



私なんかの握手で良いのかな。そう思いながら女の子に手を伸ばし、握手を交わした。



やっぱりファンの人がいてくれるのは本当に嬉しいなぁ。



自然と口元が緩んだ。



それにしても本当に人が多い。もしかしたら“あの男の子”がいるかもしれない。


そう思い、あたりをキョロキョロと見渡す。



「咲希ってばもしかして前話してた男の子のこと探してるの?」



「うん、もしかしたらこの学園にいるかなって」



「諦めなよ。あの男の子のこと同じミサンガつけてるってことしか分からないんでしょ?」
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