溺愛全開、俺様ドクターは手離さない

「そうね、あの子を振り回しているのは、いつもわたしたち家族のほうね。あの子ああ見えてお人好しだから、困っているわたしたちを見て放っておけなかったのね」

 昌美さんのさみしそうな表情を見ると胸が痛い。

「わたしこそなんの取り柄もないです。でも和也くんを好きっていう気持ちは誰にも負けません。しかもその憧れの彼がわたしを選んでくれたことが、わたしの一番の自信です。だから彼に似合う女性になるために努力していきたいって思ってます」

 わたしが話し終わった後、昌美さんはふんわりとした笑顔を浮かべた。

「和也ってば小さい頃から冷めててかわい気のない子だったけど、だからあなたみたいなまっすぐな子がそばにいてくれたら、安心ね」

「いえ、わたしなんかとんでもない。……でも離れるつもりはありませんけど」

「ははは、瑠璃さん、和也のことよろしくお願いしますね」

 わたしは頭を下げる。

「いえ、こちらこそよろしくお願いします」

 言い終わって頭をあげると、そこには昌美さんの素敵な笑顔があった。
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