溺愛全開、俺様ドクターは手離さない
帰宅後。お風呂あがりに化粧水を借りに瑠衣の部屋に行く。
「ねぇ、お姉ちゃん。アラサーが化粧水切らすってどういうこと?」
部屋に行くと、ヨガをしている瑠衣に早速怒られた。
美容部員をしている瑠衣は、わたしと違ってものすごく美意識が高い。本当に姉妹なのかと不思議になるほどだ。
「えーと、これ。使っていいよ」
ヨガを中断して、ドレッサーの引き出しから箱入りの化粧水を取り出して渡してくれた。
「え、いいの? いくら?」
「社販で安かったからいいよ、次からはお金もらうから。なくなる前にちゃんと言ってね」
「うん。ありがと。わたしももうちょっと気を使わないとダメだよね」
瑠衣のドレッサーには色とりどりの化粧品が並んでいる。正直使い方がわからないものもたくさんある。
「え? ちょっと待って。どういう変化?」
「だって、これから毎日和也くんと会うんだよ?」
「あ、それか……でもさ、ただのスタッフじゃない」
瑠衣の言い方にムッとする。
「でも、でも、今日は一緒に御飯行った!」
ムキになったわたしがそう言うと、瑠衣がものすごく食いついてきた。
「えっ? イタリアン? フレンチ? それとも和食? 中村総合病院の御曹司なんだから、さぞかしすごいところに連れて行ってもらったんでしょう?」
その表情から、期待が伝わってくる。
「……ラーメン」
「え?」
「だからラーメン食べに連れて行ってくれたの」
ポカンとした瑠衣が、大声をあげて笑いだした。
「あははっ、なにそれ。御飯だっていうから、どんなお店かと思ったら、ラーメンって……それって仕事帰りにたまたまスタッフと食事したってだけじゃない! 福利厚生の一環――」
「もういい、わかってる! わかってるから」
自分でもわかってる。だけど人から言われると悲しい。
「あっ、ごめん。そういうつもりじゃなかったんだけど」
落ち込んだわたしを見て、瑠衣も〝しまった〟という顔をした。
「わかってるの。ただのスタッフだって。最初から十分釘も刺されてる」
一度だってわたしに甘い顔なんてしたことない。
「でも、それでも……。もう今回最後のチャンスだと思ってるの。一年頑張ってダメなら、諦める。彼の望むスタッフとして仕事に集中するつもり」
「ねぇ、お姉ちゃん。アラサーが化粧水切らすってどういうこと?」
部屋に行くと、ヨガをしている瑠衣に早速怒られた。
美容部員をしている瑠衣は、わたしと違ってものすごく美意識が高い。本当に姉妹なのかと不思議になるほどだ。
「えーと、これ。使っていいよ」
ヨガを中断して、ドレッサーの引き出しから箱入りの化粧水を取り出して渡してくれた。
「え、いいの? いくら?」
「社販で安かったからいいよ、次からはお金もらうから。なくなる前にちゃんと言ってね」
「うん。ありがと。わたしももうちょっと気を使わないとダメだよね」
瑠衣のドレッサーには色とりどりの化粧品が並んでいる。正直使い方がわからないものもたくさんある。
「え? ちょっと待って。どういう変化?」
「だって、これから毎日和也くんと会うんだよ?」
「あ、それか……でもさ、ただのスタッフじゃない」
瑠衣の言い方にムッとする。
「でも、でも、今日は一緒に御飯行った!」
ムキになったわたしがそう言うと、瑠衣がものすごく食いついてきた。
「えっ? イタリアン? フレンチ? それとも和食? 中村総合病院の御曹司なんだから、さぞかしすごいところに連れて行ってもらったんでしょう?」
その表情から、期待が伝わってくる。
「……ラーメン」
「え?」
「だからラーメン食べに連れて行ってくれたの」
ポカンとした瑠衣が、大声をあげて笑いだした。
「あははっ、なにそれ。御飯だっていうから、どんなお店かと思ったら、ラーメンって……それって仕事帰りにたまたまスタッフと食事したってだけじゃない! 福利厚生の一環――」
「もういい、わかってる! わかってるから」
自分でもわかってる。だけど人から言われると悲しい。
「あっ、ごめん。そういうつもりじゃなかったんだけど」
落ち込んだわたしを見て、瑠衣も〝しまった〟という顔をした。
「わかってるの。ただのスタッフだって。最初から十分釘も刺されてる」
一度だってわたしに甘い顔なんてしたことない。
「でも、それでも……。もう今回最後のチャンスだと思ってるの。一年頑張ってダメなら、諦める。彼の望むスタッフとして仕事に集中するつもり」