溺愛全開、俺様ドクターは手離さない
「俺に愛される覚悟だよ」
その言葉とともに、彼の目に今までにないものを感じた。わたしを見る目がものすごく真剣だ。
「愛される……わたしがっ?」
彼の言葉がにわかには信じられず、確かめてみる。胸がドキドキ痛いほどに音を立てる。脈もありえないくらい速い。
「なに言ってるんだ。お前以外誰がいるんだよ」
呆れたように笑った和也くんが、わたしを引き寄せた。
そしてじっとわたしの目を見つめる。
目が合うと頬に熱が集まるのを感じた。耳まで赤くなっているに違いない。赤い顔を見られるのは恥ずかしいけれど、目を逸らすことなどできない。
「瑠璃、好きだ」
それを聞いた途端、胸が甘くしめ付けられた。
こんなことってあるんだ……。
この瞬間に彼と出会ってからのことが走馬燈のように頭の中を駆け巡る。
もう望みがないと思っていた。しかし今わたしは彼に見つめられて、好きだと言われている。
「あの、わ、わたしも、好きです」
もう何度目の告白かわからない。けれどこれまでの分まで気持ちを込めて彼に思いを伝える。
ものすごくシンプルだけど、わたしの気持ちをなによりも表している。
彼が好きで好きでたまらない。この気持ち、ちゃんと伝わってほしい。
「知ってるよ。そんなこと」
わたしの告白を受けた和也くんは、そう言って柔らかく笑うと、わたしを引き寄せた。そして顎に手を当てて軽く上を向かせるともう一度わたしにキスをする。
さっきの強引なキスとは違う優しいキス。
いたわり思いを伝えるような優しい唇に、わたしは今の出来事が夢じゃないんだと実感する。
あ……わたし、両思いになったんだ。
そう思うとなんだか胸が熱くて痛くて、でもものすごく幸せで。
色々なことを考えていたけれど、結局和也くんのキスにそれ以上はなにも考えられなくなってしまった。