【完】スキャンダル・ヒロイン〜sweet〜
テーブルに置かれた雑誌の表紙は真央と昴さん。どんな小さな記事でも私は自分でチェックして買うようにしている。
真央には「止めろ」と言われるけど、姫岡真央の出ている全ての媒体をコレクションするのはすっかり私の趣味になってしまっていた。
「後で買いに行かなくっちゃ!」
「全部集めているんだもんね。ほんっと静綺ちゃんも真央くんのファンだよね。彼女なのに」
「彼女である前に姫岡真央のいちファンでありますから。
でも私は駄目だなー…直ぐに嫉妬しちゃって、失敗ばかり…自分に自信がないのが1番の問題なんですけどね」
その場で肩を落とす私を見て、豊さんはまた笑った。
「大丈夫だよ。静綺ちゃんが思っている以上に真央くんは静綺ちゃんを大切に思ってるから。
気にする事ないよ。花乃さんを真央くんのサブマネージャーに送り込んできたのなんて社長の何かしらの思惑があるんだろうから」
何も話していなくとも豊さんには私の考えはお見通しみたい。私が真央を意識している事にいち早く気づいた豊さんの事だ。単純明快な私の考えなんてお見通しだろう。
豊さんの言葉に少しだけ気が楽になった気がする。
…きちんと真央と話さなきゃ。そう心に決めて、真央の帰って来る夜を待つこととなる。
―――――
その日真央が帰宅したのは、深夜0時を回る少し前。ドラマの撮影、それに連なったテレビ出演や雑誌の取材で近頃の真央は大忙しだった。
だから誕生日の日に1日オフが取れたのは奇跡に近かった。そんな日に喧嘩をしてしまうとは。