【完】スキャンダル・ヒロイン〜sweet〜
私の手から雑誌を奪い自分が表紙の雑誌を見つめる。そこには口を大きく開けて笑う無邪気な真央が写っている。
歯並びが綺麗な真央はスマイルラインがとても綺麗だ。普段はこんな無邪気な笑顔を滅多に見せないけど。
「それにMONAの表紙はセクシーだし」
「フンッ、それはまあまあだな。そこの編集者はセンスが良い。」
良かった。多少ぎこちなくはあるけれど、普通に話は出来ている。
さり気なくダイニングテーブルに腰をおろし、山之内さんが持ってきてくれた雑誌をテーブルに広げ、その感想を述べる。
偉そうにしてはいたものの、悪くはないと言った感じで私の批評を聞いてくれた。久しぶりに和やかな時間が流れていた気がする。
肝心な話は出来ていないが、いつも通りの普通の会話は出来ているように思えた。
夕ご飯を食べた真央はお風呂に入ると言った。
そして久しぶりにお風呂上がりに私の部屋に来ると言った。
「でも明日の撮影は?もう0時過ぎてるよ?」
「明日も6時から撮影だけど」
「じゃあなおさら早く寝た方がいいよ!」
「それでも俺はお前に話があるんだよ」
それだけ言い残しお風呂に向かってしまった。話とは一体なんだろう…。それは忙しいのに今すぐにでもしなくてはいけない話だったのだろうか。
不安が募る。悪い事ばかり考えてしまうのは、ネガティブな私の悪い癖だとは分かっている。
それでも…悪い話であってもきちんと話はしなくてはいけない。ショックな事でも悲しい事でも向き合わないといけない。そうじゃなきゃこの先真央と付き合い続ける事は出来ないだろう。