【完】スキャンダル・ヒロイン〜sweet〜
「んぅ……」
目の前には美しい男のお風呂上がりの色っぽい視線。
捲り上げたティシャツの先にある肌に薄い唇を落とそうとした瞬間、真央の頭を手のひらで叩いた。
「何を!」
信じられない、と言った顔で目を見開いた真央。
「ここは、寮です…!」
「昨日お前はマンションに来なかった!俺をどれだけ悲しませ我慢させれば気が済むんだ。」
「それでもけじめは必要なのッ。それに昨日は泥酔しちゃったんだから仕方がないじゃない。
それにあんた明日早いんでしょう?!睡眠も大切!自己管理も仕事のひとつです」
その言葉に真央は拗ねたように唇を尖らせて、立ち上がりベッドサイドに座った。
「お前、覚えてろよな?」
もうすっかり気まずい雰囲気はなくなって、いつも通り。言い合いはいつものスキンシップのひとつ。心から安心していた。
気まずくなってしまったら、ぱったりと口を利かなくなってしまう素直じゃない私達。言い合いのひとつやふたつでもしていた方が私達らしいんだから。
真央は生意気な事を言っている時の方がずっと彼らしい。
「年末は特別番組も入るし、撮影も少しだけ落ち着く。
年明けからはドラマもオンエアされるから今よりずっと忙しくなるかもしれないけどな。
時間がある時は出来るだけお前との時間を作る」
「いや、時間がある時は休んどけよ」
私の突っ込みに顔を真っ赤にさせて怒り狂う。この反応の久しぶりで安心してる所。