【完】スキャンダル・ヒロイン〜sweet〜
「あ!真央くんおニューの靴じゃん。かっこいい~。僕もこういうの欲しかったんだ!」
「おい!坂上さん触るな!それに坂上さんにはこの色は似合わねぇよ。これが似合うのは世界で俺だけだ。な?静綺」
ニヤリと口角を上げて不敵に笑う。冬なのに、心は温かい気持ちでいっぱいだった。
「別にあんただけじゃないと思うけど、よく似合ってるよ」
私のあげた真新しい靴を履いて仕事へ向かう真央の背中を見送る。
これ以上の幸せはきっとない。
出来るならば、大学を卒業後もこんな生活を送れたらそれはそれで最高なんだけど。
きっと真央の事だからこの寮が無くなっても私と離れるのを嫌い、マンションで一緒に暮らす事になるのだろうけど。
私は真央と出会ったこの場所は無くなって欲しくはなかった。
ここで暮らさなくなる日が来たとしても、想い出としてこの場所はここにあって、いつでも遊びに来れるように存在して欲しい。
グリュッグの社長が私と真央と離そうと水面下で動いていたのもまだ知らずに
この寮がずっと存続してくれる事をずっと願っていた。