【完】スキャンダル・ヒロイン〜sweet〜
Act 9 優しい嘘なんてない。
Act 9 優しい嘘なんてない。
誕生日が終わって、クリスマスも終わって年越し。
イベント続きだった12月と1月が終わって。真央のドラマもスタートして、慌ただしい1月はあっという間に過ぎていく。
そして2月はやって来る。イベント続きだが、2月にはバレンタインもある。
そんな忙しい中でも、雄太からの連絡は絶えなかった。 もしかして、私口説かれている?そう思う節は沢山あった。そして2月の終わりにりっちゃんと雄太の友達と4人で遊ぶ事も決定してしまった。
…また流された。
「はぁ~…かっこいいなぁ~…」
思わずため息が漏れてしまう。
現在土曜日。いつも恒例の真央のマンションで彼の帰りを待つ。
時刻は午後18時過ぎ。今日の撮影は珍しく早く終わるらしく、ご飯の用意をして家で待っていた。
片手には、真央の載っている雑誌の数々。思わず独り言も漏れてしまう程、私の彼氏は美しすぎるのだ。この雑誌なんて上半身裸でキャー!なんてかっこいいの!
今でも時たま思うのだ。こんなかっこいい人が私と付き合っているなんて夢?と。
片手で自分の頬をぎゅっとつねったら、鈍い痛みが走るので、これは夢ではないと確認してホッとする。
18時ちょっとすぎに真央はマンションへ帰って来た。最近はとても疲れた顔をしているから心配にもなってしまうが…今日は偉く機嫌が良さそうだった。
「ただいま」
「おかえり~」
スリッパをぱたぱたと鳴らし玄関までお出迎えに行くと、フッと小さな笑みを浮かべて私の体を持ち上げた。
いきなり宙に舞った体。真央は嬉しそうにおでことおでこを合わせると、深いキスを落とす。