【完】スキャンダル・ヒロイン〜sweet〜
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「真央ちゃん、本当に帰ってこないねぇ~…」

真央が寮から出て行って、1週間が過ぎた。

「静綺ちゃん…そんな落ち込まないでよ~。ちょっと喧嘩しちゃっただけでしょう?大丈夫だよー…真央ちゃん気まぐれだからそのうち帰って来るって」

この1週間、ラインの返信は一切無し。電話にも出てくれない。

謝罪の長文ラインは華麗にスルーされた。それだけで彼の怒りは伝わって来る。真央が私を無視する事なんて、今までなかったのだから。

本気でこの恋が終わってしまう予感がした。


そして…雄太との写真とあの日の私の居場所がバレた理由も発覚した。これは坂上さんから聞いた話だが、私には探偵が雇われていたらしい。身辺調査的な。

そしてそれを雇ったのがグリュッグエンターテイメントの人間で、坂上さんいわく恐らく花乃さんが関係していると言う。思わずゾッとした。真央と私が別れろと言うのはあの社長からの差し金であろう。

そこに花乃さんの個人的な感情が混じっているかと問われるとそれは分からない。

けれど私と真央を別れさせる為にそこまでする事務所は怖かった。やっぱり私は真央と付き合ってはいけないんだ。付き合うべき人間ではないと思わせる程に。

しかし全ては私の軽率な行動のせいである事。それは自覚しているから誰も責める事は出来ない。

あれからりっちゃんは酷く心配してくれて、私のせいだと自分を責めだしてしまって
雄太からは「あんな男と付き合うのは止めた方がいい」という趣旨で何度か連絡が着ていたけれどそれには返信をしていない。
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