【完】スキャンダル・ヒロイン〜sweet〜
私は現在もグリュッグエンターテイメントのタレントが数名生活をする寮でアルバイトをしていて
真央も有名人でありながらそこに住み続けていた。
だからこのマンションは彼が私とふたりきりになれるようにと用意してくれたものである。
こんな高級なマンションをポンと用意出来てしまう所が、また世界が違う人間だと思ってしまうものだが…。
たまにふたりきり、このマンションで過ごす。けれど………
「ちょっと、触んないでよ」
「はぁ?!」
「どこ触ってんのよ?!」
「胸とは呼べない程貧相だが、どうやらこれは胸のようだが?」
「ハッキリと口に出さないでよ。変態!」
「へ、変態だと?!大体何故彼女の身体を触ったくらいで変態呼ばわりされにゃーいかんのだ!」
ここは寝室で、互いにシャワーを浴びた後にベッドの上に座り込む。
ふたりきりのこの空間で、若い男女が行う事と言えばひとつであるが…
私は思いっきり真央の体を突き飛ばした。 その行動に彼は眉をつり上げて怒りを露わにする。
「何すんだッ。この怪力がッ!」
「うるさい!止めてよね!気持ち悪い!」
’気持ち悪い’その言葉に真央は相当応えたらしく、突き飛ばされた床の上で茫然と肩を落とす。
メンタルが弱いのは相変わらずで、性格が捻くれているのも付き合ったといって変わる気配は見せなかった。
それはいい。全然いい。そういう真央を好きになった訳で、そんな所は嫌いになる理由にはならない。