【完】スキャンダル・ヒロイン〜sweet〜
「あ~、昴駄目だよ?!」
「バレなきゃいいっしょ?」
「いくないよ!あたしが真央に頼まれたんだから~…昴に預けたらぶっ殺すとまで言われたんだからね」
そう言って岬さんが再び花束を自分の手にし、私へと向けた。
少し照れくさそうに笑った岬さんの笑顔。何と言うか…アイドルスマイル。さすがは国民的アイドルのセンターだ。思わず惚れてしまいそうになるほど可愛らしい笑顔だった。
「静綺、卒業おめでとう。この薔薇の花束は、真央からだよ」
「え?!真央から?」
だって真央は今、イタリアな筈だ。
受け取ったら薔薇の妖しくも妖艶な香りが鼻をつく。
両手に抱えきれないくらい大きな花束は、可愛らしいハート柄を描いている。なんつー…ロマンチックな物をまた…。
「自分は直接今日渡せないから、頼まれたの。でも昴には絶対渡さすなって釘を刺されてるの。本当にヤキモチ妬きねぇ」
「そうなんですかッ?!何も聞いてない!でもすっごく可愛い」
「自分は何のしてやれないから、お前たちで祝ってやれってさ」
「真央が…そんな事を…」
「俺には静綺ちゃんに近づくな、でも祝ってやれだって、あいつ相変わらず矛盾してるよなぁ~」
「真央らしいと言うか何と言うか…。それにしてもすごいこの花束。」
いやあ…本当に泣き出してしまいそうだ。まさか昴さんや岬さんも居るとは思わなかったし、こんな花束を用意しているとは…。
そういえば誕生日の時も真っ赤な薔薇の花束を用意していた。ロマンチスト野郎め…。
遠くに居るのに常に私の事を想ってくれている人の事で頭がいっぱい。