【完】スキャンダル・ヒロイン〜sweet〜
「そんなあんまり気を遣わなくたっていいよ。テキトーでいいってば!」
「まっ!適当とは何よ。適当とは。大体なんでソファーで寝っ転がってるのよ?!早く用意しなさいよ。彼氏さんを迎えに行くんでしょう?」
「だってまだ時間があるし。」
「全くあんたは彼氏さんの名前さえ教えてくれないし、居た事自体隠してたなんて!
一体どんな人なのかしら~…お母さん美少年が好きだからブッサイク連れて来られたら笑顔が引きつってしまうかもしれないわ…」
「あのねぇ!お母さん!人を外見で判断しないでよッ。どんな不細工でも心が綺麗ならそれでいいじゃないの!」
「そんなの絶対に嫌ッ。お母さんはかっこいい人が好きなのッ!
…ってそこまで言うって事はやっぱり不細工なの…?
はぁー…静綺はお母さんに似て結構綺麗な子だとは思っているんだけど、やっぱりモテないのはその性格のせいかもね。」
余計なお世話だ!後でひっくり返っても知らんぞ?!
やはり母の面食いは昔から変わらないのだ。少女時代からアイドルの追っかけをしていたらしく、商社に勤める父を選んだ理由は’顔’らしい。
その父は仕事では中々有能な人だったが、幼き頃は自分の趣味やゴルフで家族団らんを過ごした事はあまりない。なんつーか自由な人だ。全然嫌いじゃないけど。
そのせいか母とは友達のように昔から仲良しなのだが。
12月2日。
真央は午前中から私を実家まで迎えに来ると言ったが…それはお断りして私が先に電車で真央の実家まで向かう事にした。
そっちの方が何かと効率が良いし、同じ千葉市内で近いとはいえ育ってきた街ではない。真央の生まれた街を少し探索したい気持ちがあった。