【完】スキャンダル・ヒロイン〜sweet〜
携帯を見たらまだ午後14時。
これから何をするかは決めていなかった。
瑠璃さんのはからいでパーティーの準備は皆で進められているらしく「静綺ちゃんは真央とゆっくりしておいでね」と言われた。
りっちゃんを迎えに行くのも17時だ。まだまだ時間はある。
「買い物でも行くか?何でも好きな物買ってやろう」
「いやいやいや今日の誕生日の主役に物なんか買わせられないよッ…」
第一ショッピングなんか呑気にしてたら人に囲まれる。
「じゃあ静綺がどこか行きたい場所はないのか?せっかくのオフで一緒に過ごせる時間があるのに勿体ないだろう」
それは確かにそうなんだけど。
ちらりと彼の横顔を盗み見すると、ばちりと目が合ってしまった。
きちんと前を見て運転してよ!と言いかけて信号が赤なのに気が付いた。
ぎゅっと握りこぶしを作って、下を向く。こんな言葉いつもなら自分から言ったりはしないんだけど…。
「ふ、ふたりきりになれる場所に行きたいかな…」
言ってしまった後に脳内がボーっとして、体中いっぱいに熱が広がって行く。こんな真昼間から、私は一体何を言っているのやら。
無言のまま気まずい車内、真央の顔を見るのが怖かったけれど視線だけ横に映すと、そこには私以上に真っ赤になっている真央がひとつ咳払いをした。
どうやら顔から火が出る程恥ずかしかったのは発言をした私同様だったらしい。
「まぁ…昨日も何だかんだ実家に帰るって言って土日一緒に過ごせなかったしな」
「そ、そうだよね」