【完】スキャンダル・ヒロイン〜sweet〜
大体私が真央へ対する想いなんて言葉のひとつやふたつじゃ言い表す事が出来ないんだ。
姫岡真央っていう人間自体が好きなんだから。
「お前は俺の支えだ」
「私が?!」
「ああ。精神安定剤だし、あったかく包み込む毛布だし、幸せって言葉そのものが俺にとっての静綺だ。
お前のかーちゃんに言ったのは、本音。お前みたいな女はこの世界のどこを探したっていやしない」
「そ、そんな事ないと思うけど…真央大袈裟なんだよ」
「大袈裟なもんか、出会ったばかりで俺の顔をぶん殴る女はお前かかーちゃん位しかいねぇだろ」
そう言ってニヤリと意地悪な笑みを浮かべる。全くもう!良い事言ったかと思えば、そんな出会ったばかりの頃の事を。
「俺多分初めからお前の事好きになる予感がしてたんだよなぁー」
「殴られたのに?!やっぱりあんたMなのね……」
「そういう事じゃねぇよ!全くお前はッ…。
きっと俺の事見た目や容姿だけじゃなくって中身で見てくれる人間だって…
まぁお前が誰にでも優しいのは性分みてーだから、それが俺を苛つかせるんだが。
大体お前ってば男にも女にも誰にでも優しすぎだぞ。そこは気をつけろよ。お前が優しくするのは俺だけで充分なんだ。そしてその優しさを受け取る権利があるのは俺だけだ」
言っている事は滅茶苦茶だが、つまりは独占欲が強い。
「まあ、お前も最初から俺を好きだったんだろ?」
「え?最初は大嫌いだったけど?」
「ほえ?!」
間抜けな声を発して、ベッドから起き上がる。
まるで信じられないと言ったような顔をして。