【完】スキャンダル・ヒロイン〜sweet〜
「姫岡さん、雄太ってうちらの小学校の同級生なんですけど、昔はずっと静綺が好きだったんですよー?
クラスの人気者でかっこいいって女子からも人気あったのに、ずっと静綺が好きで
静綺は昔から鈍感だからそんな雄太の気持ちに全く気付かなかったんですけど」
りっちゃん…余計な事を…。
「へ、へぇー…そうなんだ」
顔は笑っているけれど、口元が引きつっている。後で絶対に何かを言われるに違いない。この人のヤキモチ妬きが病的だと言うのはもう知っている。
真央のそんな様子には気づかずにりっちゃんは続ける。
「それでねユイちゃんに聞いたんだけど、雄太って今法学部の学生さんらしいよ」
「え?!そうなの?!超優秀じゃん!頭良かったっけ?スポーツが出来るイメージしかなかったなぁ…
まぁ中学からはクラスも違ったし、高校もうちら分かれてるもんね」
「そうそう。私もあんまり頭良いってイメージはなかったけど。
ユイちゃんいわく最初は普通に経済学部に行ったらしいんだけど、2年生の時に大学入り直したみたいだよ」
「へぇー…法学部って事は将来は弁護士さん?かっこいい」
法学部に進学したからといって弁護士の道しかないと思うのが自分の頭の悪さを露呈しているようにも思うが、’かっこいい’というフレーズは自然に出てしまった。
別に弁護士に興味なんかないけれど、あの向日葵バッチがかっこいいイメージがあるし、選ばれしものって感じではないか。
しかし軽はずみに’かっこいい’と言ってしまったのは、車を運転する彼の逆鱗に触れたと気づいたのはその直ぐ後だった。