【完】スキャンダル・ヒロイン〜sweet〜
また、花乃さん。
この度忙しいと言う理由でサブとしてだけど、花乃さんは再び真央のマネージメントに携わる事が決まった。
それが私を苛つかせる理由のひとつにもなっていた。
坂上さんが’花乃さん’の名前を出すと、ばちりと真央と目が合ってしまった。それをわざとらしく逸らしてしまう。それに真央の怒りは更にヒートアップしていったようで、坂上さんに八つ当たりしていた。
朝ご飯のおかずをテーブルに無言で出すと、真央はムスッとした顔のまま口を開いた。
「また人参とピーマンがあるッ!」
「うるさい!黙って食え!」
ここ数日私達が喧嘩をしているのは、寮の皆も薄々勘付いていた。
そしてわざと人参やピーマンを出している訳ではない。栄養があるのだ!それでも真央は恨めしそうな目でこちらをじとっと見つめた。
坂上さんは私達に挟まれて、ハラハラとした表情を浮かべて汗をかいていた。…真冬なのに。
私達は互いの顔を背けてフンッとそっぽを向いた。
必然的にふたりで過ごす時間は少なくなっていった。こんな事をしている場合じゃないって分かっているのに。
―――――
「やっぱり月島花乃って真央とそういう関係だった訳?」
「あいつも馬鹿だなー…馬鹿正直に何でもかんでも言うもんじゃないよ」
ここは、テレビ局内の楽屋である。本来であるならば一般人が入る事は不可能である場所。
今日このテレビ局で岬さんのバラエティーの撮影が入っているとの事で、呼ばれた。