【完】スキャンダル・ヒロイン〜sweet〜
この間のパーティーで連絡先の交換をして、元々仲の良い私達ではなかったけれどたまに連絡を取るようになって、今回の真央の件を岬さんに相談していたのである。
そしてその楽屋内には何故か昴さんも居た。同じ局内の違うスタジオで丁度撮影をしていたとの事である。
華やかな芸能人に囲まれているって事実さえ私には信じがたい事なんだけど、それを考えれば真央と付き合ってる事さえ私には信じがたい事実なのである。
「やっぱり昴知ってたんでしょう?」
岬さんの猫のような視線が昴さんへと移る。可愛い顔をしてどう見てもアイドル顔の岬さんは、怒ると異常に怖い。この業界は気が強くなきゃ、アイドルとしてもやっていけやしないんだろうけど。
「知ってたっつか、花乃さんが真央と仲良くしてるのは知ってたけどさ。
真央ってああいう性格だから扱いずらいっつか…だからまあ、花乃さんは年上だし真央を上手くコントロールしてたとは、思う。
でも真央の言ってた通り付き合ってたって訳じゃあないよ…」
「付き合ってなくたって、ヤッてたって事だろが!」
言葉遣いが少々よろしくない岬さんは、昴さんの胸倉を掴む。…ひぇー、アイドル怖い。
「別に岬が怒る事じゃないじゃん…!ここには今真央と付き合ってる静綺ちゃんもいるんだし」
その言葉に岬さんの手はぴたりと止まり、私の顔をちらりと見入った。
「別に静綺はいいのよッ!静綺と付き合うのは!私よりレベルの低い女なんだし!」
岬さんの言葉が胸にぐさりと刺さる。確かにその通りかもしんないけどさ。そんなにハッキリ言わなくっても。