【完】スキャンダル・ヒロイン〜sweet〜

はぁー。と大きなため息が楽屋内を溶けて消えて行った。昴さんも、あの岬さんさえ心配そうな顔をしてそんな私を見つめていた。

「ちょっと!静綺!」

岬にさんに肩をぐいっと掴まれて、我に返る。中々に怪力…いや強い力だ。
そして大きく零れ落ちそうな瞳を真っ直ぐに向ける。

「何を弱気になってんのよッ?!
私はあんただから真央の彼女ってのも…認めてやってもいいかなって思ってんのよ?!
あんたはなんていっても私よりよっぽどブスで可愛くないから!」

ちょっと、それは失礼すぎやしませんか。いや分かってるけど、岬さんはそれはそれは可愛いですから。

「それに…あんたと居る時の真央は楽しそうでいい感じだし…。
でもあの女は大ッ嫌い!あの女がいる事で真央の芸能活動が良い方向に進んでいくとは到底思えないんだけど!」

強引で口も悪い人だけど真央の事を大切に考えていて、本当は優しい子だ…。
そんな真剣な岬さんに対して思わず笑ってしまう。
その態度に岬さんは心外だとでも言うように口を開く。

「何笑ってんのよ」

「岬さんって優しい人ですよね」

「なッ…」

「ちょっと真央と性格似てるかも。分かりにくいけど、実はとても優しい」

そんな私達の会話を聞いて、昴さんはやっぱりクスクスと笑いだす。

「何よッ!昴まで笑ってんじゃないよ!」

「くっく。何か静綺ちゃんと岬を見てると面白いなーって…
実は岬、静綺ちゃんみたいな子大好きでしょー?」
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