【完】スキャンダル・ヒロイン〜sweet〜
大学も短い冬休みが始まる。とはいえ卒論もあるし、遊んでばかりとはいかない。
そ、そういえばりっちゃんの言っていた小学校の同窓会今週末だった。
どうせ暫く真央とは仲直り出来まい。予定のない土曜日の夜だ。せっかく結ばれて前以上に近づいたかと思えば、離れて行って…私達は一体何をしているというのだろうか。
喧嘩したまま過ぎて行った数日。
どんなに仕事が遅くなっても私の部屋か真央の部屋で過ごすのが寮に居る時のルーティーン。
けれど互いに素直になれぬまま、仲直りのきっかけも掴めない。
その間、真央のサブマネージャーとして仕事に同行している花乃さんの存在が気になりっぱなしだった。
その日は夜から同窓会が決まっていて、皆の夜ご飯を昼過ぎから準備していた。こんな日に限って真央の仕事は午前中で終わり、昼からオフだった。
いつもならば、都内のマンションでふたりきりで過ごすのだが、そのきっかけも掴めぬまま。そしてこういう時に限って、寮内は人が出払っていた。
キッチンに立ち料理の準備を進める私と、ソファーに座りテレビに目を向ける真央。
テレビから流れるCM…某有名お菓子メーカーのチョコレートのCMには真央が笑顔でチョコを片手に映っている。
…何か変な感じ。テレビの中に映ってる人が目の前に居て、無表情に自分のCMを眺めている。勿論沈黙。私達はお互いが意地っ張り過ぎる。
無言のまま、料理を進めていく。
自分なりに毎日真央の健康の為に気を遣っているつもり。
心も体も元気になれるように。その為好き嫌いの多い真央にも食べやすいように美味しく作っているつもりだが…。