【完】スキャンダル・ヒロイン〜sweet〜
「そりゃー背ぇくらい伸びるって。
つーか星月聞いてよ。棚橋絶対に俺の事忘れてたんだけど」
「静綺は雄太どころかほぼ皆の名前と顔が一致してないよ」
「アハハッ、棚橋らしーな。」
そう言って白い歯を見せて笑う雄太は、やはり爽やかだ。さっぱりとした塩顔イケメンである。小学校の頃からモテていたけれど、そのまんま成長したのだ。
何故か雄太はそのまま私の隣に座り、頬杖をついてこちらをジーっと見つめる。思わず硬直してしまう。それもそうだ…。あんまり男性には免疫がないのだから、ジーっと見つめられると中々に気まずい。
「びっくり。棚橋全然変わらないから、一瞬で分かったよ」
そういえば、今日トレーナーとジーンズなんていい加減な格好をしてきてしまった。
髪も洗いっぱなしでくせッ毛の髪が跳ねている。化粧も適当だし、恥ずかしい。
皆は大分成長して綺麗に変わっていたりするのに、変わらないと言われてお恥ずかしい限り。
「あはは~ッ。本当に私って成長なしって感じだよね?」
「うん、相変わらず綺麗」
細い目を線のようにして笑いながら平然とそう言って退ける。思わず変な所から汗が出てくる。
「またまたぁー…口がうまいこと…」
「本当だよ。でも背はでっかくなったよね?昔はすっごく小さかったのに。
小学校に入学した時の棚橋って小さくて細くてお姫様みたいで男子皆から守ってあげたいって言われてたのに」
「そうなん?!」
余りにも驚きの声を上げてしまったのか、雄太はくくっと小さく笑って「やっぱり変わらないね」と言った。