犠牲者はチャイムと共に。〜7日間の命〜
「授業のチャイムを聞かなきゃいいんじゃね?」



ハッとする私たち。



「そうだよ! この教室から逃げればいいじゃん!」

「チャイムが聞こえないところに行けばいいんだ!」



男子2人が席を立って、教室を飛び出していく。


……チャイムが鳴り響くまで、あと3分。



「校舎の外に出ちゃったよ!?」



誰かがベランダに身を乗り出す。

その声に引っ張られるように、窓に近づく私たち。

ベランダの窓から、校舎を出て走り去っていく2人の姿が確認できた。


キーン コーン。


ハッと時計を見る。

4時限目を知らせるチャイム。

チャイムの音が嫌でも耳に入ってくる。

震える手を祈るように握りしめる。


犠牲者が出ませんように……。


カーン コーン。


チャイムが鳴り終わった……。



パッパパー!

大きなクラクションが鳴り響いた。


窓から見えたのは、大きなトラックに跳ねられた……クラスの男子2名。

大通りを飛び出した彼らに突っ込んだのは、大型トラック。


そんなのに引かれてしまったら。



……命はない。
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