若きビル王とのエキサイティング・マリッジ
お見合い相手は、橘権三の孫
「……は?タチバナ ゴンゾー?誰ですか、それ」
店先のディスプレイを整えていた私のところへ異業種交流会から戻った祖父がやって来た。
「店の奥へおいで」と誘われるから素直に従い、座敷に座るとニコニコと満面の笑みを浮かべ、「橘権三氏というのはな…」と自慢気に説明を始めたのだ。
「このテナントビルの屋上に日本庭園があるだろう。彼はその庭園のデザインをした造園家で、各地の有名な庭や美術館の設計や監修を手掛けたこともある人物だ」
「はあ…そうですか」
だからどうした、といった感じで受け流すと、祖父は軽く溜息を吐き、ずいと私に近寄り、「その孫との縁談を持ってきたぞ」と嬉しそうに胸を張る。
「縁談…?」
眉根を寄せ、首を傾げる私に祖父はこくりと頷きを返し。
「そうだ。もう直ぐお前も二十八になるし、いつまでも独り身でいるという訳にもいかないだろう」
「つまり、その縁談は私に…と」
「そうだ。今度こそ絶対に拒否はさせないぞ」
店先のディスプレイを整えていた私のところへ異業種交流会から戻った祖父がやって来た。
「店の奥へおいで」と誘われるから素直に従い、座敷に座るとニコニコと満面の笑みを浮かべ、「橘権三氏というのはな…」と自慢気に説明を始めたのだ。
「このテナントビルの屋上に日本庭園があるだろう。彼はその庭園のデザインをした造園家で、各地の有名な庭や美術館の設計や監修を手掛けたこともある人物だ」
「はあ…そうですか」
だからどうした、といった感じで受け流すと、祖父は軽く溜息を吐き、ずいと私に近寄り、「その孫との縁談を持ってきたぞ」と嬉しそうに胸を張る。
「縁談…?」
眉根を寄せ、首を傾げる私に祖父はこくりと頷きを返し。
「そうだ。もう直ぐお前も二十八になるし、いつまでも独り身でいるという訳にもいかないだろう」
「つまり、その縁談は私に…と」
「そうだ。今度こそ絶対に拒否はさせないぞ」
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