若きビル王とのエキサイティング・マリッジ
「おい!」
背後から男性の声がするようだがお構いなし。
一旦写生を始めると頭の中にはいろんなデザイン画が浮かび、この苔と何を組み合わせたらいいだろうか…とそればかりに集中する。
「おい、お前…」
男性は呆れた感じで声を発してくるが、集中するとそれすらも耳に入らなくなり、ブツブツ言いながらスケッチを続けていく。
「この苔の上に、紅葉の葉を落としてみたらどうだろう。赤や緑じゃなくて、ショッキングピンクとか濃い紫なんかにして、わざとクシャッとした感じにして、風は白い線で描いて、上から落ちてくる雨垂れは雫型じゃなくて、まあるい玉にして…」
すっかり夢中になって、シャッシャッと鉛筆を動かす。
デザイン画はあっという間に小さなスケッチブックの上に広がり、満足げに息を吐いた私は鉛筆を置き、デザイン画と苔を見比べて、「ふふ」と微笑みながらスケッチブックの表紙を閉じてバッグの中に入れ直した。
「ようやく終わったのか」
背後から男性の声がするようだがお構いなし。
一旦写生を始めると頭の中にはいろんなデザイン画が浮かび、この苔と何を組み合わせたらいいだろうか…とそればかりに集中する。
「おい、お前…」
男性は呆れた感じで声を発してくるが、集中するとそれすらも耳に入らなくなり、ブツブツ言いながらスケッチを続けていく。
「この苔の上に、紅葉の葉を落としてみたらどうだろう。赤や緑じゃなくて、ショッキングピンクとか濃い紫なんかにして、わざとクシャッとした感じにして、風は白い線で描いて、上から落ちてくる雨垂れは雫型じゃなくて、まあるい玉にして…」
すっかり夢中になって、シャッシャッと鉛筆を動かす。
デザイン画はあっという間に小さなスケッチブックの上に広がり、満足げに息を吐いた私は鉛筆を置き、デザイン画と苔を見比べて、「ふふ」と微笑みながらスケッチブックの表紙を閉じてバッグの中に入れ直した。
「ようやく終わったのか」