若きビル王とのエキサイティング・マリッジ
自分なら誰からも認めて貰えるはず、と勝手にそう思い込んでいるらしい。
けれど、そういう態度が一番頭にくる。


「ふざけるな」

「はっ?」

「お前とやり直すなんて、いつ誰が言った!?
俺はお前と縁談をやり直そうなんて、これっぽちも思ったことないし、第一望んでもいない。
そもそもお前と一時期付き合ってやったのは、仕事上付き合いのある商事本社の娘だからだ。無下に断るのはまずいと考えて、仕様がなく暇つぶしに会っていただけだ。

俺は、その頃から結婚を視野に入れたことは一度もない。それに、お前は気づいてないと思っているようだが、俺はちゃんとわかっているんだぞ。

お前の父親が、俺ならいいと言う理由は、『NISSO設計』を自社の傘下に入れ、今以上の利益を上げてやろう…と狙っているからだろう。
『NISSO』を手に入れれば、業界で大きな顔が出来るからな。上場を理由に株も牛耳り、建設業界にも進出しよう…とか考えているんだろうが、お生憎様。

『NISSO設計』は商事本社には下らない!祖父が昔、本社から建設部門だけを独立させたのも、本社の思い通りにならず、自由に日常を装う街づくりをしたい、と思ったからだ。

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