若きビル王とのエキサイティング・マリッジ
選択した相手
「香織ちゃん!」
ビルの開店と同時に店へやって来た琉成さんは、私の手を取ると、「ちょっとこっちへ来て」と引っ張った。
ぐいぐいと引っ張られながら連れて行かれたのは、フロアの隅にある非常階段で、その壁に背中を付けられると彼は私に近寄り、「訊ねたいことがある」と真剣な顔で言いだした。
「昨夜、バーで一人の男性と出会った。そいつは香織ちゃんと見合いして、『結婚を前提に付き合っている』と言ったんだが…本当か?」
窺うように訊いてくる彼は、問い詰めるような雰囲気で私のことを見つめている。
だから、一瞬息を詰め、ごくっと唾を飲み込んでから声を吐き出した。
「ええ」
区切るようにハッキリ発音すれば、彼は目を見開き、唖然としたような表情をしてくる。
「相手は『NISSO設計』の専務だと言ってたぞ!?そういう奴と、君は結婚を考えているのか!?」
信じられない…と言いたげな表情をする琉成さんは、更に私に近付き問い続けた。
「あんな奴と結婚してどうするんだ!?君は『染屋白浜』の暖簾を継ぎたいんじゃなかったのか!?」
ビルの開店と同時に店へやって来た琉成さんは、私の手を取ると、「ちょっとこっちへ来て」と引っ張った。
ぐいぐいと引っ張られながら連れて行かれたのは、フロアの隅にある非常階段で、その壁に背中を付けられると彼は私に近寄り、「訊ねたいことがある」と真剣な顔で言いだした。
「昨夜、バーで一人の男性と出会った。そいつは香織ちゃんと見合いして、『結婚を前提に付き合っている』と言ったんだが…本当か?」
窺うように訊いてくる彼は、問い詰めるような雰囲気で私のことを見つめている。
だから、一瞬息を詰め、ごくっと唾を飲み込んでから声を吐き出した。
「ええ」
区切るようにハッキリ発音すれば、彼は目を見開き、唖然としたような表情をしてくる。
「相手は『NISSO設計』の専務だと言ってたぞ!?そういう奴と、君は結婚を考えているのか!?」
信じられない…と言いたげな表情をする琉成さんは、更に私に近付き問い続けた。
「あんな奴と結婚してどうするんだ!?君は『染屋白浜』の暖簾を継ぎたいんじゃなかったのか!?」