若きビル王とのエキサイティング・マリッジ
怒鳴るように声を張り上げる相手は、ぐいっと琉成さんの腕を持ち上げ、捻りながら体の後ろへと持っていく。
腕を捻られた琉成さんは苦痛そうに顔を歪め、それを見て慌てた私は、「駄目!」と声を発して食い止めた。
「それ以上はやっちゃ駄目!そんなことをしたら、琉成さんが絵を描けなくなる!」
それが一番、彼にとっても『白浜』にとっても大きな損害。
友禅師の画力を失わせてしまうなんて、着物の業界では絶対にあってはならないことだ。
「くそっ!!」
吐き捨てるように手を振り離した彼は、私の方に向きを変え、「大丈夫か?」と訊いてくる。
その質問に頷きながら縋り、安心するように息を吐き出した。
「店へ行ったらお祖父さんが、『知り合いが来て、あっちへ行ったよ』と教えてくれたんだ。何だか焦っている様な雰囲気だった…と聞いたから、嫌な予感がして探しに来た」
何事もなくて良かった…と安堵している。けれど、私は今更ながら震えがきて、カタカタと指先を震わせて彼の服を掴んだ。
「…あんた、昨夜俺に言ったよな」
腕を捻られた琉成さんは苦痛そうに顔を歪め、それを見て慌てた私は、「駄目!」と声を発して食い止めた。
「それ以上はやっちゃ駄目!そんなことをしたら、琉成さんが絵を描けなくなる!」
それが一番、彼にとっても『白浜』にとっても大きな損害。
友禅師の画力を失わせてしまうなんて、着物の業界では絶対にあってはならないことだ。
「くそっ!!」
吐き捨てるように手を振り離した彼は、私の方に向きを変え、「大丈夫か?」と訊いてくる。
その質問に頷きながら縋り、安心するように息を吐き出した。
「店へ行ったらお祖父さんが、『知り合いが来て、あっちへ行ったよ』と教えてくれたんだ。何だか焦っている様な雰囲気だった…と聞いたから、嫌な予感がして探しに来た」
何事もなくて良かった…と安堵している。けれど、私は今更ながら震えがきて、カタカタと指先を震わせて彼の服を掴んだ。
「…あんた、昨夜俺に言ったよな」