若きビル王とのエキサイティング・マリッジ
振り返り、冷めた眼差しを送る彼は、睨みを利かせながら話しかける。
声をかけられた琉成さんは、不貞腐れたような表情を浮かべ、唇を歪ませて睨み返してきた。


「香織は渡さない。彼女を幸せにするのは自分の役目だ…って。なのに、彼女を怖がらせてどうするんだ。無理矢理彼女を襲って自分のものにしたって、香織に嫌われたら、幸せどころか縁だって切れるだろっ!」


そうしたいのか!?…と問い詰められ、ぐっと口籠る琉成さん。
その目には薄っすら涙が滲んでいて、それを見ると何だか胸が詰まり、ぎゅっと掌を握りしめた。


「…僕はただ、彼女に目を覚まして欲しかっただけだ。君のような男と一緒になっても、いつか絶対に後悔する日が来ると思うから」


琉成さんは私を見返すと切なそうな目元をして、その理由を話しだした。


「僕は、幼い頃から自分の周りで遊ぶ彼女を見つめてきた。
彼女は小さい頃から着物が大好きで、いつか僕の描いた着物を『着てみたい』と言ってくれた。
『きっと綺麗な絵が描けるよね』と言ってくれて、『頑張ってね』とずっと励ましてくれていた。

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