若きビル王とのエキサイティング・マリッジ
ベールもミディアムと短かめにして、白無垢の生地が映えるようにデザインしてある。
ただ、デコルテがはっきり見えるスタイルな為、悠大さんには不評で、「なるべく早く着替えて欲しい」…とお願いされた。


彼と二人で何度もホテルへ通うのも楽しみの一つになった。

元政治家の邸宅があった場所に建てられたホテルには、ホタルが飛び交う沢まであり、実際に宿泊して蛍を鑑賞したり、有名な史跡や建築物に触れながら、何時間でも滞在していられる贅沢なひと時を味わった。


「祖父はこの庭に感化されて、ビレッジ内の庭園を造り上げたんだ。都会でも電飾による蛍が見られたら、どんなにロマンティックだろう…と思ったのがキッカケらしい」


呆れるけどな…と教えてくる彼は、お祖父さんの作った庭が思い通りになるよう、今も定期的に見回りへ行っている。

お見合いの最中に、キョロキョロと視線を動かしていたのも、実はグラスファイバーの様子を確認していた、と教えてくれて、呆れるくらいにお祖父さんっ子なのね…と笑ってしまった。


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