若きビル王とのエキサイティング・マリッジ
そんな言い方ないんじゃない!?…と言いたくなるが、相手は祖父の言葉を間に受け、「それでは」と言うと手首を持ち、「さぁ行こう」と歩き始める。


「えっ!?あの…」


待って…とも言わせずに歩を進めだす相手に引き摺られながら、勘弁してぇー、と胸の中で叫ぶ。



「あの、橘…さん?」


名前を言わずに呼びかけると相手はちらっと目線を走らせ、「なんだ」と答えながら進む。


「あの…この間はとても失礼致しました。お忙しいのに時間を取って頂きながら、あんなことになってしまって」


あの後、私、庭の玉砂利を復元してから店に戻ったんですけどね、と思いながら謝りを入れる。


「貴方には大変失礼な態度を取った上、無視してしまい、とても非常識だったと思っています」


だから、今回のお話は無かったことに…と、ちゃんとお断りを言おうとしているのに。


「ああ、あの一件な。俺は全然気にしてないよ」

「え?」

「むしろ、君の行動にとても興味が湧いた。だから、今日は面白いものを見せてやろうと思ってやって来たんだ」


スタスタと歩く歩調を合わせながら、面食らうのは私の方だ。


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