若きビル王とのエキサイティング・マリッジ
「しかし、顔は良くてもかなり相手を選り好みするらしいのだ。政略結婚もしないと拒否しているらしいし、女に興味がないんじゃないのか、と相手のご両親も相当悩んでおいででな」

「お祖父さん、そういう方を私になんて」

「何を言っておる、相手の母上様は独身の頃から『白浜』の上得意客だぞ。今回もそのご縁があって異業種交流会に呼ばれ、この話を持ち帰ることになったのだ」


店の信用を裏切るわけにはいかない、と言うけれど、結婚よりも仕事に興味のある私はどうにも解せず___。


「あのぉー、やっぱりご辞退を…」

「出来ん!さっきも言っただろうが!」


酷い剣幕で怒鳴り散らす祖父に思わず「ひゃっ!」と目を瞑る。

確かに今回だけは見逃してもらえない雰囲気に観念した私は、仕方なく相手の顔だけを拝むつもりで、土曜日の一件を了承した。


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