若きビル王とのエキサイティング・マリッジ
呆れて耳を傾けるのも嫌になってしまい、「はいはい」と適当に相槌を打ち、誘いを了承することになってしまった。



(…全くもう、お祖父さんは…)


彼も相当強引だが、祖父の方がもっと上手かもしれない。

それに、彼が何処へ連れて行こうとしているのかはわからないけれど、私が気に入ると思うからには、さっき見せられた場所のように、見事な和の世界が広がっているのだろうか。


(あの人、マゾで不思議な感じの人だけど、センスがいいというか、ちょっと覗きたくなるような世界観を持っている)


それは決して相手自身のことではなく、あくまでも彼が設計しているデザインに限定されているのだけれど。


(…でも、相手には気を許したわけではないのだから、しっかりと距離は保っておかなくちゃ)


爪先を引っ掛けた時のように、不意に近寄らせないようにしなくちゃ。

そうでないと私の貞操が危ない。いや、別に大事にしまっているつもりでもないけれど……。


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