若きビル王とのエキサイティング・マリッジ

視界には、さっきまで灯っていたライトアップが一斉に消え、暗闇の中に別の灯りが点いたり消えたりしながら、いろんな文様に変化していく様が浮かび上がってきた。


文様は、和傘、麻の葉、扇……と次から次へと現れては消えていく。

それは、まるで電飾が作りだす花火のような感覚で、私は見つめたまま瞬きをするのも忘れ、じっとその和の世界に浸り込んでしまった。



「綺麗……」


囁くように声を漏らすと、側にいる男性は、小さくクスッと笑う。
けれど、余計な言葉は発せず、黙って一緒に外を眺め続けている。


文様のライトショーはほんの数分程度の時間で終了。その後はまた園路に沿って、灯りがぼんやりと映し出され、再び幻想的な雰囲気に変わったのだが……。



「蛍…」


呟くと、彼が「そうだ」と声を発する。

園路の灯りは、ぼんやりと点いては消え、まるで蛍が飛んでいるかのように、灯りも転々と移動しながら点滅を繰り返している。


「…祖父は、ものすごいロマンチストだったんだ。綺麗なものや美しいものを作ったり、眺めたりするのが大好きな人で、この庭もそんな思いを伝えられたら…と考えて作り上げられた」