若きビル王とのエキサイティング・マリッジ
祖父の話していた橘権三氏というのは、大した造園家であり設計士でもあったらしい。
彼はこのベリーヒルズビレッジを所有する旧財閥家の本社から建設部門だけを独立させ、現在の『NISSO設計株式会社』の基礎を立ち上げ、数々の有名な建築物や庭のデザイン監修などを手掛けてきた。
ネットでも調べてみたけれど、『NISSO建設株式会社』は、ビレッジ内の建物全てを設計建築した会社で、中でもテナントビルとレジデンスを設計したのは、次期社長の孫が率いるデザインチームで、彼は設計業界では、『若きビル王』とも呼ばれているらしい。
年齢は三十四歳、名前は橘悠大といい、次期社長の立場からそういうニックネームが付いたという話と、彼の建築に対する考え方が斬新で、常に新しいビル建設やタワー建築に挑んでいるからだ…という噂がプロフィール欄に添えられていた。
「だから、どうしてそういう大それた相手と、私みたいなごく一般的な女子をお見合いさせるかな」
ぶつぶつと文句を言いながら、エレベーターの鏡に映る自分の姿をちらりと見遣る。
彼はこのベリーヒルズビレッジを所有する旧財閥家の本社から建設部門だけを独立させ、現在の『NISSO設計株式会社』の基礎を立ち上げ、数々の有名な建築物や庭のデザイン監修などを手掛けてきた。
ネットでも調べてみたけれど、『NISSO建設株式会社』は、ビレッジ内の建物全てを設計建築した会社で、中でもテナントビルとレジデンスを設計したのは、次期社長の孫が率いるデザインチームで、彼は設計業界では、『若きビル王』とも呼ばれているらしい。
年齢は三十四歳、名前は橘悠大といい、次期社長の立場からそういうニックネームが付いたという話と、彼の建築に対する考え方が斬新で、常に新しいビル建設やタワー建築に挑んでいるからだ…という噂がプロフィール欄に添えられていた。
「だから、どうしてそういう大それた相手と、私みたいなごく一般的な女子をお見合いさせるかな」
ぶつぶつと文句を言いながら、エレベーターの鏡に映る自分の姿をちらりと見遣る。