若きビル王とのエキサイティング・マリッジ
今までで一番不似合いな場所へ自分が来てしまった…と落胆したまま立ち竦んでいると、執事の様な人は微笑み、「ああ。そうでしたか」と納得してくる。



(…いえ、全くのデタラメです)


否定しつつ、彼とは確かにお見合いはしたものの、それがキッカケで連れ回され、こんな場所まで連れて来られてしまっただけ…と言い訳まで考えてしまう。



「今日は広場へ行かれるおつもりですか?」

「ああ。管理がてら、彼女にも一度見せてやりたいと思ってね」

「そうですか。それでは、彼方(あちら)からどうぞ」


手で示されるのは、カウンターの横をすり抜けて行く通路だ。

その脇にはラウンジのようなものが完備されていて、まるで個室みたいな雰囲気に設えられた空間には、外の景色が映り込むような大きな窓まで配置されている。

しかも、その窓から見える景色が、色鮮やかでとても綺麗なのだ。

赤い葉のカエデを中心に、緑の紅葉が配色されているだけなのだが、とても絶妙なバランスで植え込まれていて、まるで一枚の絵画のように写り込んできた。


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