若きビル王とのエキサイティング・マリッジ
（そうか、此処は高級レジデンスだから、こういうところまで抜かりがないんだ）


妙に感心しながら彼に連れられて歩く。

さっきまでは、彼がてっきり此処の住人なんだとばかり思っていたけれど、今の二人の会話を聞いた限りでは、どうもそうではない感じもする。


（それじゃ、彼が此処へ連れて来た目的は…？）


さっき言っていた広場とは何のこと？…と目を向けながら足を進ませていると、通路の奥には分厚い防音扉のようなドアがあり、そのレバーを押し下げた彼が、前のめりで外へ出て行くものだから後を追った。




（わぁ……）


一瞬声を失くして目の前の景色に見入る。

視界には、さっきまで居たシックな空間とは違い、解放感に満ち溢れた緑一面の景色が広がっていた。




「此処が、富豪のオアシスだ」


自慢げに話す声に振り返ると、相手は私の方へ目線を向け、ニッと口角を上げながら説明してくる。


「此処に住んでいる者は皆、普段から社会的地位が高く、常に人の視線に晒されながら肩肘を張った生活を送っている。その分、高級なものや贅沢にも恵まれ、これ以上にはないくらい最上級の暮らしぶりをしているだろうと思う。
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