若きビル王とのエキサイティング・マリッジ
服はふんわりとしたパフスリーブのブラウスに、裾の広がったフレアスカートを穿いている。
靴はヒール高めなパンプスで、それは間違っても、自分が履いたりできないものだった。


ガツンとショックを受け、呆然としてしまう。
世の中にこんなに品が良さそうで、如何にもお嬢様…と思える様な人がいるなんて驚きだった。


それが背の高い彼と一緒だと余計に華やいで見えるのだ。
だから、何となく眩しくて、目を細めて二人の姿を見つめた。



どうも顔見知りのような二人は、お互いに敬語で話しながらも親密そうにしている。
それに、彼女は何となく彼に甘えているみたいに見えて、それがとても自然で、変に思えないから胸の奥が騒ついた。


だけど、別に彼が誰と親しくしてもいいのだ。
私は彼のお見合い相手に過ぎないし、仕事柄、顔の広そうな彼が話をしているのはきっと、このレジデンスに暮らす住人の一人に違いないから。


(でも、何を話しているんだろう。あんなに顔を近づけて、内緒話みたいで、何だか嫌だな)


自分が蚊帳の外に置かれているような気分。
だから、二人から目線を逸らし、わざと空を見上げて時間を潰した。


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