若きビル王とのエキサイティング・マリッジ
気まずい雰囲気はさっさと断ち切るべきだ。
俺に迷いが無いのなら、その気持ちを相手に示すべきだろう。


「先ずは外堀から埋めるか」


受話器を持ち上げ、とある場所へ連絡を入れる。
電話の相手は俺の話を聞くと大袈裟に驚き、それでも涙ぐんだ声で、「ありがとうございます…」とお礼を述べた。


「あの子にもいい返事を早くする様に、と申し付けておきます。この度のご縁、誠に嬉しく存じております」


腰の低い返事をされて通話を終える。

相手の安堵した声を聞きながら受話器を置いた俺の胸には、微かな期待と希望とが入り混ざっていた__。




「……後は、あの宿敵の相手をどう料理するかだな」


腕がなるぞ、と意気込みを感じる。
あの時、公衆の面前で怒鳴りつけられた分も含め、相手に逆転してやる、と闘志を燃やした。



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