若きビル王とのエキサイティング・マリッジ
日本人形のように見えた女性のことを思い出して、思わず顔を曇らせる。
彼はあの時、彼女のキスを平気で受け止め、私の質問についてはスルーして、何も答えずにおこうとしていた。


(なのに今更、結婚を前提に…なんて、そんなの虫が良すぎない?
それに、もしもそれを望むなら、彼女が誰かをきちんと教えてくれないと嫌だし、こっちはあの容姿を見ただけでも傷付いているのに、関係性も明らかにされないままだなんて、そんなの余計に落ち込んでくるでしょ)


彼に要らないことを聞いてしまったのだ、と思っていた。
彼女は彼にとって、特別な間柄なんだろう…と感じていた。



(でも、そうじゃなかったら……)


ドキン…と胸を弾ませてしまうが、変に期待をしてはいけない。
彼とは目標こそ似ている私だけれど、住む世界も違うし、育ってきた環境だって凄くかけ離れている……。



(だけど、そういう彼と結婚したら、一体何が待っているだろう……?)


ワクワクしてきながら、つい先のことを想像する。
彼と結婚して夫婦になり、いろんな刺激を与え合える関係性になれたら___。



(……馬鹿ね。そんなことあり得ないのに)


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