若きビル王とのエキサイティング・マリッジ
単なる祖父孝行…と呟けば、可笑しそうに笑いだす。
琉成さんとは幼い頃から家族ぐるみでの交流があり、まるで兄妹みたいな感覚で育ってきたのだ。


「……ところで、さっき言っていた話というのは何?」


思い出したように顔を見て訊ねると、琉成さんは「ああ…」と声を発し、手に持っていた茶碗を置いて指を組み直した。


「……実は、僕もいい加減いい年だし、そろそろ身を固めた方がいいんじゃないか、とこの頃周りからよく言われるようになってね」

「ああ、そうか。琉成さん、もう三十七歳だものね」


自分とは十歳年が離れているから…と納得して頷くと、彼は、「確かにそうだけど…」と苦笑する。


「それで、相手を紹介してやろう…とも言われたんだけど、僕にはもう、心に決めた相手がいるので…と言って断った」

「へぇー、琉成さんにもそんな人がいるんだ」


それじゃ、その人と結婚する…という報告かな、とニコニコしながら聞いていた。



「香織ちゃん」


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