若きビル王とのエキサイティング・マリッジ
自分のことを「悠大だ」と訂正した彼は、涼しげな表情で真っ直ぐ前を見つめ、時折その眼差しをとある方向へ向けている。
こっちはそんな相手の着ている服装や足元を確認し、確実に高級品だと実感した後は、どんな話をすればいいの?と迷い、困った雰囲気で目線を俯けて付いて行く。
彼と何も話さないまま、枯山水風に設えられた場所まで来た時だ。
視界に入る白っぽい玉砂利の中に置かれた石の周りに、黄緑色の草が生えているのに気づき、足先をそちらへ向け、ゆっくりと近付いて行った。
「あっ、杉苔!」
声を発して叫んだ私は、砂利の中へ足を踏み入れる。
石に近づくと確かに杉苔が生えていて、その草型の可愛らしさに魅了されてしまった私は、足元にしゃがみ込み、じっと見つめながら苔のようすを観察した。
(可愛い星型!これ、写生したい!)
ムクムクと膨れ上がってくる願望に抗えず、石の側に置いてある岩の上に座り込むと、さっと手にしたバッグの中から鉛筆とスケッチブックを取り出し、じっくり見つめては鉛筆を走らせて、黙々と苔の写生をし始めた。
こっちはそんな相手の着ている服装や足元を確認し、確実に高級品だと実感した後は、どんな話をすればいいの?と迷い、困った雰囲気で目線を俯けて付いて行く。
彼と何も話さないまま、枯山水風に設えられた場所まで来た時だ。
視界に入る白っぽい玉砂利の中に置かれた石の周りに、黄緑色の草が生えているのに気づき、足先をそちらへ向け、ゆっくりと近付いて行った。
「あっ、杉苔!」
声を発して叫んだ私は、砂利の中へ足を踏み入れる。
石に近づくと確かに杉苔が生えていて、その草型の可愛らしさに魅了されてしまった私は、足元にしゃがみ込み、じっと見つめながら苔のようすを観察した。
(可愛い星型!これ、写生したい!)
ムクムクと膨れ上がってくる願望に抗えず、石の側に置いてある岩の上に座り込むと、さっと手にしたバッグの中から鉛筆とスケッチブックを取り出し、じっくり見つめては鉛筆を走らせて、黙々と苔の写生をし始めた。