若きビル王とのエキサイティング・マリッジ
プライドを賭けた対峙
朝一番に大泉香織の祖父に電話した俺は、昼間に角川春妃から連絡が入り、オフィスビルの上にある会員制のバーに来て欲しい…と頼まれた。
電話口であいつは、「午後八時に待っています」と言ってきたくせに、時間になっても現れやしない。
前からそういう女だったが相変わらず。世間を知らないというか、周りの者は皆、自分の言うことをヘコヘコ聞くくらいに思っているのだろう。
言っては何だか、周りが彼女の言うことを聞くのは、父親が旧財閥家の商事本社で代表取締役を務めているからだ。
彼女の機嫌を損ねでもして、彼の逆鱗に触れてはいけない…と恐れているせいだ。
(あの父親が娘のことで一々機嫌を変えたりするわけないだろ。そんな事をしている暇があったら、利益を出す為に、何をしたらいいかを考えるだろうよ)
そういう相手なんだよ…と呟き、ロックを呷り時間を潰していた。
あと十分待っても来なければ、それを理由に今回の話は断ってやる、と心に決めていた。
仏頂面でカウンターの端に座り、顔も上げずにスマホの画面を眺め続けている俺の近くに、二人の男性客がやって来て腰掛けた。
電話口であいつは、「午後八時に待っています」と言ってきたくせに、時間になっても現れやしない。
前からそういう女だったが相変わらず。世間を知らないというか、周りの者は皆、自分の言うことをヘコヘコ聞くくらいに思っているのだろう。
言っては何だか、周りが彼女の言うことを聞くのは、父親が旧財閥家の商事本社で代表取締役を務めているからだ。
彼女の機嫌を損ねでもして、彼の逆鱗に触れてはいけない…と恐れているせいだ。
(あの父親が娘のことで一々機嫌を変えたりするわけないだろ。そんな事をしている暇があったら、利益を出す為に、何をしたらいいかを考えるだろうよ)
そういう相手なんだよ…と呟き、ロックを呷り時間を潰していた。
あと十分待っても来なければ、それを理由に今回の話は断ってやる、と心に決めていた。
仏頂面でカウンターの端に座り、顔も上げずにスマホの画面を眺め続けている俺の近くに、二人の男性客がやって来て腰掛けた。